アジア・アロワナ
私が初めてアジアアロワナを見たのは、今から31年前、13歳の時です。その頃のアジアアロワナの体色は少し金色という印象で、値段もシルバーアロワナと比べても特別高いということはなかったと思います。それから時代は進み、アジアアロワナはみるみる熱帯魚のスターになりました。
今のアジアアロワナの色彩は他に類を見ないほどの美しさに満ちています。アロワナ以外で鱗が光っている魚として思いつくのは、ディスカスとアフリカンシクリッドくらいでしょうか。しかもアロワナは1枚1枚の鱗が大きく、存在感があります。
私がアロワナを描く時にいちばん力を入れるのは、この鱗の輝きを表現する時です。中でも難しいのが、ワイルドブルーの色彩で、ピンクから紫、紫から青の微妙な輝きを出すのに、私は面相筆という極細の筆を使って、油絵の具をオイルで薄く溶きながら少しずつ色を重ねて描いてゆきます。今度私の絵を見る機会がありましたら、特に鱗を注意して見てください。油絵とは思えないほど、なめらかなタッチで描いています。
また、私はアロワナの形にはよりいっそうの神経を使います。描く形は理想のプロポーションをしていなければならないからです。頭はスプーンヘッドで少し反り上がっていて、ヒゲもピンと上を向いていて、胸ビレや尾ビレは大きく堂々としているもの、また全体のプロポーションとしては、頭が小さく見えるように描いています。
アロワナは泳ぎにも気品が漂っています。私は魚は泳いでいる姿が美しくなければならないと思っています。このアロワナの泳ぎの美しさは、鱗の大きさからくるものではないでしょうか。ターンをする時の鱗の動きを見ているとほれぼれします。このようにアロワナは形といい、色といい、泳ぎといいすべてが絵になる魚です。
|