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TAG UND NACHT

TAG UND NACHT / SCHILLER

ドイツのChristopher von DeylenのユニットSchillerによる4thアルバムで、ムーディーブルースを思いおこさすような語りから始まります。CDジャケットも、他では見たことのないようなシンプルで斬新なデザインです。これは月を現わしているのでしょうか。雄大な自然と現代社会をエレクトロニックを通して表現してゆく、彼等の音楽の世界がこのジャケットからも伝わってきます。Schillerのサウンドは、ビートの効いたエレクトロニックサウンドに、オリエンタルなワールドミュージックの要素を加え、深みのあるSchillerならではのサウンドを作りあげています。初めはエニグマと比較されたようですが、今は完全に独自のオリジナリティーを確立していると思います。何人かの女性ヴォーカルが歌っていますが、それぞれの声が美しく、またエコーによって声が空中を漂うように聴こえてきます。そしてこのCDには、マイク・オールドフィールドも参加しています。ドイツではライブDVDが出ていますが、このサイトからライブとプロモーションビデオが見られます。映像のセンスもすばらしく、彼等の目指す世界が鮮明に見えてきます。


afterline

afterline / Bliss

去年、友人のイラストレーター長野剛さんから、私の好きそうなCDを13枚もいただきました。すべてが私好みでしたが、その中からまた4〜5枚ほど選んでご紹介したいと思います。まずはデンマークのバンド、ブリス(Bliss)です。彼等の奏でる音は、少しかすれたようなクールな女性ボーカルに、ヨーロッパ北部のサウンドとアフリカなどの民族音楽を織りまぜ、彼等独自の美しくドリーミーな世界を展開しています。彼等にしか表現できない、機械的ではなく、ナチュラルな様々な音色の高みを、そして清涼感溢れるエコーズサウンドを、ぜひ一度聞いてみてください。彼等の音には私達の身体に眠る、懐かしさを思いおこす太古の人間のDNAに触れるような響きがあります。


BYRDS

Original Byrds / Byrds

私の好きなニール・ヤングの“ハート・オブ・ゴールド”が、以前日記で紹介した、1月2日にNHKテレビで放映されたドラマ「きみの知らないところで世界は動く」 のテーマソングだったので感動しました。それ以来、高校時代に聴いていたロックをまた新たに聴いてみたりしています。最近は昔聴いたロックはあまり聴くことはなかったのですが、聴いてみるとやはり懐かしいですね。その当時が思い出されます。よく聴いたのはキングクリムゾン、ピンクフロイドなどのプログレッシブロックと、ニールヤング、レーナードスキナード、オールマンなどのアメリカロックです。その時代を象徴する曲として1曲挙げるとすると、難しいですが私だったらボブディランの“アイ・シャル・ビー・リリースト”を挙げるかもしれません。アマチュアのロックコンサートのフィナーレとして、出演バンド全員でディランセカンドの“男らしいってわかるかい”といっしょによく歌われていました。しかし“ハート・オブ・ゴールド”が、これほどドラマのテーマソングとして合っているとは思いませんでした。特にイントロがいいですね。ニールヤングは鼻声なので、とっつきにくいのですが、だんだんとそれが良くなってきます。そしてはまってしまうのです。ニールヤングはいい曲がたくさんあります。今回紹介するCDは、高校時代LPでよく聴いていたもので、ザ・バーズの“オリジナル・バーズ”です。これは隠れた名盤だと思います。ここではニールヤングは歌っていませんが、曲を2曲提供しています。“カウガール・イン・ザ・サンド”と“アバウト・トウ・レイン”で、これがまたとてもいい曲です。機会があったらぜひ聴いてみてください。このCDを聴くたびに、高校時代2階の部屋から見た宇和島の景色と、ロックを聴きながらよく食べていたキャラメルコーンやファンタアップルを思い出します。


Chimera

Chimera / Delerium

デレリアムのChimeraは浮上感のある上質のポップミュージックで、女性ボーカルを全面にフューチャーしており、人物が漂っているCDジャケットのイメージが独自の音像とだぶります。デレリアムの代表作というとKarmaと言われていますが、karmaもいいCDで私も好きでよく聴いています。民族音楽の要素をさまざまに使っていたり、独自性を出そうとしていますが、やはり至るところでエニグマのイメージがちらつくことから、デレリアムのオリジナル性という点を重視すると、私はChimeraを推薦したいと思います。デレリアムのアルバムはどれもが完成度が高く、イマジネーションを駆り立てます。


Mystic Spirit Voices

Mystic Spirit Voices / Lesiem

Lesiemの音楽は荘厳な聖歌をイメージさせます。ピンクフロイドのデイブ・ギルモア風のギター、シンフォニックなパイプオルガンが壮大に広がる音空間です。プログレッシブロックやエニグマの好きな方は気に入ると思います。3枚のCDが出ていますが、3枚目はポップな女性ボーカルが全面に入り、壮大なバックグラウンドにうまく解け合っています。哀愁が漂うエスニックな楽曲もあり、いちばんオリジナリティが出ています。私が今いちばん聞いているのは3枚目ですが、壮大さという点でファーストアルバムを推薦します。最近私が聞いているアルバムは、なぜかほとんどがドイツのグループです。


THE INVISIBLE BAND

THE INVISIBLE BAND / TRAVIS

トラヴィスのアルバムの中でもいちばんシンプルでアコースティックな作品で、聞けば聞くほど味がでます。アルバム全体にひとつの流れがあり、曲に対する彼らの自信が伺えます。最近の音楽はどうしても音より先に映像のイメージビデオの方が目に飛び込んでくるので、ビジュアル指向のバンドが増えるのはしかたのないことだと思いますが、私は曲が良ければステージ衣装などもシンプルな方がかっこ良く感じます。このトラヴィスのメンバーも、見かけは何の飾りもない普通っぽいかんじが私の気にいっているところです。そういえば60年代、70年代のほとんどのロックグループやフォークシンガーは、ステージの上でも普段とあまり変わらない衣装で、それがまた自分たちの仲間がステージで歌っているようで、観客との一体感を呼んでいたようにも思えます。ビジュアルに凝らなくてもいい音楽は音としてしっかり残り、ビートルズのように次の世代、また次の世代の若者へと引き継がれていくものだと思います。


The Best of Secret Garden

The Best of Secret Garden

シークレット・ガーデンを初めて聞いたのは今から8年ほど前です。そのノスタルジックでクラシックな雰囲気が漂う曲はガラス絵にぴったりで、1997年の銀座でのガラス絵展では1日中ずっと流していました。CDは何枚か出ていますが、ファーストアルバムがダントツにいいです。つい最近ベストアルバムが出て、その中の20曲中9曲がファーストアルバムから選曲されていますので、初めて聞く方はこのベストアルバムが良いと思います。近頃はこういった静かな音楽を聞くことが多くなってきたようです。それは自分が描こうとする絵にも影響するものだと思います。いい音楽からは絵が浮かんできます。いい絵からは音が聞こえてきます。私も画家としてそんな絵を描いてみたいと思います。


Crimson Collection Vols.6&7

Crimson Collection Vols.6&7

私が展覧会でよくかけるCDを紹介します。これは水と光のアート、淡彩画の展覧会でかけるCDで、クリムゾン・コレクションのシリーズよりVols.6&7 祈り/祝福です。クリムゾン・コレクションはシク教のマントラソング集で、唯一なるものの存在、真理を追求したものです。その言葉はサンスクリット語、真言で歌われていて、真言は密教にも通じているものです。私はこれを初めて聞いた時、何とも言えない安らぎと清らかなものを感じました。それ以来聞き続け、もう何百回聞いたかわからないほどです。そしてこのCDは新作のイメージを膨らませる時などもよく聞きます。この曲を聞きながら様々な光や空気の流れ、色彩の変化などを頭の中で創作してイメージを高めてゆきます。私にとってイメージの源になるCDです。ぜひ皆さんも聞いてみてください。


Attitude

Attitude / RIP RIG AND PANIC

10代、20代の若い頃は、身体全体からエネルギーを発散させるようなハードな音楽を聞きたくなることがあります。セックスピストルズをはじめとするパンクロックは、単純なリズムと暴力的なパフォーマンスが売りでしたが、それらはすでにわたしがイメージする範囲のものでした。しかし同じ頃に出たポップグループというバンドの音には新鮮さとショックを受けました。それは決して心地の良い音楽というものではないのですが、何か地面から突き上げてくる地球の鼓動のような強い力を感じたのです。20代前半の頃、私がいちばん聞いたのはポップグループとリップリッグアンドパニックでした。この流れでドンチェリーを知りコルトレーンのフリージャズを聞くようになりましたが、今はこのようなハードな音楽はほとんど聞きません。


It'll End In Tears

It'll End In Tears / THIS MORTAL COIL

プログレッシブロックが大好きだった私には、4ADの音にすっぽりはまっていた時期があります。コクトーツインズ/デッド・キャン・ダンス/ザイモックスなど、4ADのミュージシャンは音楽的に同じような統一された感性があり、それは音楽のバロックとも言えるような幻想的で、暗く、重く、美しいサウンドです。その中でアルバム1枚を選ぶとすれば、やはり4ADのセッションユニットであるディス・モーター・コイルのファーストアルバムを私はあげたいと思います。そのノスタルジックな音楽は一度聞いたら忘れられないような美しさと怪しさを持っています。4ADの音の美しさはアルバムのデザインにも現れていて、どのグループのアルバムジャケットも、形あるものが腐敗し酸化する時の崩れてゆくものの美しさを光と陰と色によって現すという統一された美があり、アートとしても大変すぐれています。





玉神輝美のサイン