OSPHRONEMUS
今まで描いた魚のネイチャーリアリズムアートの中で、私がいちばん思い入れがあるのは、この“レッドフィン・オスフロネイムスグラミィ”(通称“レッドオスフロ”)の絵です。1987年頃に雑誌「フィッシュマガジン」でこの魚が初めて日本に紹介されました。独特な風貌とこの色彩に私は魅了されました。魚なのですが、どことなく鳥のオウムに似た雰囲気があり、エキゾチックなジャングルをイメージさせます。海水魚に比べ淡水魚は一部のナマズ類を除けば、体系などにそれほどの変化はありませんが、このオスフロを見た時は熱帯の神秘を感じました。その頃は実物をまだ見ていませんでしたので、いろいろと探していた時に東京タワー水族館にいるという話を聞き、それから何度も通いました。そうしてでき上がった絵がこの絵です。生息地が東南アジアということもあり、水質は酸性のイメージで茶色っぽくしています。そしてバックの雰囲気には原生の植物であるクリプトコリネやニムファなどの株の植物を少しイメージさせて、砂は川砂の細かさを出しています。実際のオスフロが住んでいる現地の水系はもっと苔や藻があり、水も濁っていると思いますが、絵としての美しさを考えてそこまでは描いていません。技法的にはアロワナや金魚と同じように、水彩をエアーブラシでかけてそれを後から筆で取り、光を出すというやり方で描いています。
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