<コンテストをきっかけにアクアリウムの連作を開始>
フリーとして絵を描きつつ趣味として水草水槽を楽しんでいた頃、『アクアリウム・フェア』がスタートした。
「そのレイアウト・コンテストに出品したら、たまたま『フィッシュ・マガジン賞』というものをもらったんです。それをきっかけに、当時の『フィッシュ・マガジン』と編集長と意気投合して、そこから熱帯魚関連の絵を描くようになったんです。」
当時29歳。アクアリウム関連の作品デビューだった。
以来アクアリウム関連の仕事も徐々に増え、人物画が半分、アクアリウム関連の絵が半分という状況が1年ほど続いたが、今から14年前、30歳の時を境に、描く作品は100%アクアリウム関連になっていった。
「でも描いてみると結構アクアリウムは難しいんです。ある依頼で魚を描いたんですけど、写真のとおりに描いたらダメだったんです。つまり、写真は写真で、それを理想の形に仕上げていくって感じじゃないとダメだって言うんです。結局自分の理想的な魚っていうのをマニアの方々は持っているんです。そういう理想を絵に対しても要求するんですね。」
それに加えてネックになったのは、熱帯魚を描くにあたっては資料が圧倒的に少ないということであった。
「人物の場合は、いろんな雑誌の資料がいくらでもあって、きれいな人を描こうと思ったら、あとはテクニックだけの問題なんですね。ところが熱帯魚の場合は色やポーズを含め、ものすごく理想的な写真というのはなかなかないんですよ。そのために熱帯魚を描く時は、常に知識と想像力を総動員して描いている感じなんです。」
それでも子供の頃、趣味として始めた熱帯魚に、今では仕事として関われることに大きな喜びと幸せを感じている。
「今後も今までのアクアリウムの世界はもちろんですが、魚をとおして新たなことをやっていきたいと思っています。今までは結構楽しい感じのアクアリウムをずっと描いてきたつもりなんですけど、今後は水彩画などを使って、“癒し”を感じさせる絵にも挑戦していくつもりです。シンプルだけど、どんな人が見ても心がなごむ・・・そんな絵を今はいちばんのテーマにしています。」
今後も、玉神さんの描くアクアリウムの世界に期待しています。
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