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Aquarium Magazine


アクアライフ

 

 AquaLife JUL.1989 NO.120








アクアライフ・1989年7月号/トロピカリズモに掲載されました

トロピカリズモ1トロピカリズモ2

 

限られた大きさの水槽の中に自分なりの風景を作るのは、容易いようでなかなか難しいものですが、何回も悪戦苦闘しているうちに、独自のポリシー、アイデンティティーが少しずつ生まれてきます。私は見た目の柔らかいかんじのする淡いグリーンの水草(イエローリシマキア、イエローカボンバ、イエローアマニア)などが好きです。密植したそれらの水草のポイントとして、エキノドルスやアポノゲトンを1本だけ植えたり、水草の種類をなるべくひかえて傾斜状に流れを出したりして、シンプルで広がりのあるレイアウトを心がけています。

水草は緑系が中心で赤系のものは前方の緑を引き出すために、そのバックとして使う程度です。というのもレッドカボンバ、アマニア・グラキリス、レッドリーフ・バコパなどはすばらしい赤なのですが、レインキーやリナキナなどは密植すると茶色っぽく見えてしまします。その時照明にフィッシュルクスを使えば赤系だけのレイアウトはエキゾチックな雰囲気が出て、緑系とはまったく違った美しさを見せます。本来赤と緑は補色関係にあって互いに反発し合うので、赤系の水草は使い過ぎないようにします。オレンジから黄色にかけての水草は、緑とうまくマッチします。そのあたりを考えてレイアウトしていくといいのではないかと思います。

私はレイアウトする時にまずポイントを決めます。それは流木でもエキノでも密植したパールグラスでもかまいません。90cm水槽ならポイントが1ケ所か2ケ所、それより大きければポイントも3ケ所、4ケ所と増やしていきます。次にそのポイントを引き出す方法ですが、周囲に違った形態の水草を持ってくる方法と、バックを暗くしたり色彩の異なった水草を持ってくる方法があります。そこで大切なのはポイントの水草に視線がいくように、レイアウト全体に流れを作ってやることです。また背景に凹凸の部分を作るだけでも変化が出ます。

今回のレイアウトは葉の長さが40cmもあるエキノをポイントとして、それを引き出すために丸葉の水草を集めてみました。丸葉の水草は4種類ありますが、目を細めれば水系が大きくふたつに分かれるシンプルなレイアウトにしています。エキノドルスは放射状に伸びるラインが命なので、他の水草と重なってラインが切れたりするとその美しさが半減しますので、エキノを使う場合は必ず主役として使います。普通レイアウトでは後に持っていきますが、遠近感を出すのに大きなものを手前に植え、後に行くにしたがって小さくしていくというまったく逆の手法もあります。

最近では雑誌などで少しずつ水草レイアウトがブームとして広まりつつあるように思えます。私は立方体の水槽をひとつのキャンバスに想定し、これからもレイアウトを楽しんでいきたいと思います。

(この文章は「アクアライフ・1989年7月号」に掲載されたものを載せました)

 

アクアリウムプランツ4


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