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以前『フィッシュマガジン』(緑書房刊)に“カメの看病記”として掲載された記事です。










<ダイヤモンドバックテラピン看病記>

私は4匹のダイヤモンドバックテラピン(ノーザンのメス1匹、オルナータのオス2匹とメス1匹)を飼育しています。

その中のノーザンは幼体の時からすばらしく美しい個体でしたが、購入して2ケ月も経たないうちに 左側の腹甲に2mmほどの白い点のようなものができていることに気づきました。そこを少し掘ってみると、 左側の腹甲の半分位に膿状のようなものができていたのです。

状態の進み具合から、輸入される以前から病気になっていたようです。私は小型のハサミを使って左側の腹甲の表面を半分程削り取り、膿状のようなものをすべてピンセットで取り出し、テラマイシン軟膏をたっぷりと埋め込みました。水に入れると軟膏が少しずつですが溶けてしまうのと、病気を直すには乾燥が必要なので、直るまでは陸ガメのような状態で飼わなければなりません。2〜3日経つとまた膿状のようなものができるので、これをきれいに取った後で軟膏を塗り込む、この作業を直るまで繰り返しました。

問題になったのは水の補給です。初めは霧吹きでやっていましたが、長期間になると水を飲まさなくてはいけません。 そこで考えたのは右の写真のようなものです。ガラスの小皿のまん中に直径3cm程の石を置き水を入れる、これだったら体を濡らさずに水が飲めます。

この状態が2年間ほど続き、腹甲はだいたい直りましたが、幼体のカメでしたから体力がかなり落ち、1日中ほとんど動かなくなりました。 また長期間の陸上生活で塩分が不足したため(ダイヤモンドバックテラピンの飼育には少量の塩分を入れます)甲羅がガタガタになってしまったのです。

こんな状態でさらに1年が経った頃、今度は2〜3回むせ返るような仕草をしたかと思うと、口から少量の血をはいてしまったのです。 ここまでくると市販の薬では直らないので何件かの獣医に行きましたが、爬虫類の知識はあいまいでいい結果は出ませんでした。

いろいろ探してやっといい獣医を見つけ、そこで後ろ足の筋肉の一番太いところに抗生物質の注射をして、口からは先の柔らかいホースで抗生物質のはいった餌を胃の中に強制的に注入しました。またレントゲンを撮ってもらったところ、慢性の結核とわかりました(先生にレントゲンの撮り方を聞いたところ、カメの呼吸を見ながらすばやく撮るそうです)。ついでに内臓の検査もしたのですが、かなり弱っていました。この頃では目をつぶったままほとんど動かず、人間でいったら危篤状態でした。

検査の結果は最悪だったのですが、それでも治療を3日に1回続け、2週間程経った午前2時頃、少しですが体が動いたのです。 それで私は急いで砂肝を2mm程に小さく切り目の前に落としてやると、スローモーションの様に口を開けゆっくりと食べてくれたのです。この時の感動は忘れません。

次の日からは餌を少しずつですが食べるようになり、1日5g減っていた体重も止まり、奇跡的に回復へと向かっていきました。 そして今ではレプトミンを元気にバリバリと食べています。購入してから3年間ほとんど伸びなかった甲長も、この半年で5cm伸びました。

このダイヤモンドバックテラピンの名前は“かめを”といいます。“かめを”はこの大病を乗り越えて今年で15年目を迎えました。 他の3匹のカメたち、“さく”は14年、“りんりん”、“でんでん”も13年目になります。今後はカメ日記として、私の飼っている 4匹のカメたちの紹介をしていきます。

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家に来てまもない元気な頃
2年間の陸ガメ生活で体力がなくなり  毎日寝るだけ
陸ガメ生活の頃
水を飲みにきたところ
奇跡的に元気になる









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